お腹の力

歩き方だけでその人がどんな状態か、わかってくる。

これは、武道の稽古の時、師匠に何度か教えていただいた事です。何氣ない動作の中で、それが動きの基本となること、大切な事も教えていただきました。

ある時、混み合う駅の改札に入って、歩いていると、ある人に目がとまりました。相撲の力士さんが、浴衣を着て手に小さカバンを持って歩いていたのです。力士、という事と、体が大きいという事だけでも人目をひきますが、私自身がふと見て感じたのは、お腹の意識がとても強い人という感覚でした。

相撲の力士さんなので、腹腰の力が強いのは、ある意味当たり前かもしれませんが、それでも、ただ体の大きな人が歩いている、というよりは、腹の座った人が歩いている、という印象が強くありました。

昔の日本、特に'武士道が尊ばれていた時代、日本人のほとんどは、お腹の意識(下丹田)が強く、腹がすわっている、という事自体が、武士としても人としても尊ばれていたと聞いた事があります。その意識と、生死の覚悟を持って生きていたから、すれ違っただけで、相手の強さも推し量る事ができたといいます。


そこだけを鍛えれば、というわけでもありませんが、私自身も、日常生活でお腹と手足をバラバラに使わず、お腹の中心からのパワーや、言葉を身につけて、それを発揮していきたいと思いました。

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