どこに目を向ける?

歯医者さんで、

何度来院しても怖い怖いと泣き叫び治療のいすにも座れないちびっ子がいました。

お母さんも先生も助手のこも、

あの手この手で説得を試みますが一向に出来る気配がありません。

 

その一連のやり取りを他の仕事をしながら見ていた私は、

とても気になることがありました。

 

その子の周りにいて必死に説得しようとしている大人たち全員から、

どうせ出来ないんだろうな・・・

言うこと聞かないな、面倒だな・・・

という氣を感じたのです。

 

その子の心は増々閉じていき、

もはや誰の声も届かずただ泣き叫んでいます。

 

そんな時一瞬私と目があいました。

彼の目を見て、この子絶対出来るのになと思いました。

 

1ミリも疑うことなく出来るという心のまま彼と二人にしてもらい、

他愛のないお話をしていると、

少しずつ彼の心が開いてくるのがわかります。

 

一個づつ何が怖いのか彼と二人で確認していきました。

音が嫌なのか、

金属の質感が嫌なのか、

水が嫌なのか、

 

痛い、怖いと思いこんでいるものが本当にそうなのか、

最初はゆっくり彼のペースに合わせつつ段々とこちらのペースになってきたころ、

8回通ってもできなかったことがその一日でできるようになりました。

 

こちらの都合とタイミングでやらせようとしても上手くいきません。

それは稽古と同じ。

 

そして一番大切なことは、

人の可能性“創造の力”をどれだけ信頼しているか、

言い換えると自分の“創造の力”をどれだけ発揮できているかということでした。

 

きゆるぎ流愛手道で最も大切なことを、

小さな彼から学びなおしました。

 

 

みかん