自分のことが愛おしくなる解剖生理(鼓膜・耳小骨編)

私たちは常に、
【音】の湖の中にいます。
24時間、いつも途絶えることなく、何かしらの音が鳴っていますよね。

風の音、人の話し声、外の車の音・・・

その音は、“空気の波”のようなもの。

例えば、
目の前の人が何か声を出したとします。
その「声」=「息」は、周りの空気を揺り動かし、
その揺れは、湖の波紋のように広がり、
その空気の揺れは、
私たちの耳の中にも伝わってきて、耳の中の奥へ奥へと波は進みます。

そして、その先にあるのが、

太鼓のように張られた、とてもとても薄〜い膜。
そう「鼓膜」です。

伝わってきた空気の波に応じて、鼓膜も揺れ動くのです。


小さな波がきたら、小さな音として
大きな波がきたら、大きな音として
早い波は、高い音として
遅い波は、低い音として、
認識されるわけです。

ちなみに、
人が音として認識できる高い音というのは、1秒間に2万回も鼓膜が往復する波ということらしい!
目にも止まらぬ速さで動いているんですね!


今、鳴っている音を聞いてみてください。


様々な大きさや、様々な高さが混ざって、一瞬のうちに消えたり鳴ったり・・・
それはもう、複雑に変化しているのがわかると思います。


その、鼓膜に伝わってきた様々な波を、その奥に伝えるのが、
鼓膜のすぐ後ろに控えている、
人体で最も小さな骨の、
耳小骨と呼ばれる、「つち骨」「きぬた骨」「あぶみ骨」です。

三つ合わせても、6ミリにも満たない、小さな小さな骨。
それぞれが連動しあい、鼓膜に伝わってきた波を、さらに奥へと伝えてきます。

この最小三兄弟のお仕事が、これまたダイナミックで感動的なのですが、
そのお話は長くなるのでまた今度いつかどこかで(^^)


複雑に混じり合った鼓膜の揺れを、

一瞬で、分析して、すぐさまその情報を脳に伝える。


誰かが私を呼んでるな

これは大事なお話だ

なんて素敵な音楽なんだろう
あ!危ない!
と判断したり、

また、とんでもなくたくさんの音の中から自分に必要な情報をピックアップして聞いたり・・・

 

ほんの一瞬で、これらの複雑な情報処理がなされているんです!

しかも24時間体制で。


これら全ては、耳の穴に伝わってきた空気の揺れを、優れた感覚で
受け止めることから始まっているのです。


鼓膜や耳小骨は、身体は小さくても、
【音を伝える】という
ものすごく大きな仕事を担っているわけです。

 

とんでもなく繊細で超精妙なお仕事を一瞬でこなせる、

そんな超スペシャリストが私たちの体の中に備えているんです。

 

 

***


もし、自分に自信が持てなくなってしまったり、

自分の存在が、とてもちっぽけに思えてしまったりても、

たとえどんなに小さく思えても、
目の前のお仕事をコツコツとすることが、
それは、世界にとって、
とてもとても大切で、なくてはならない程、役に立っているのです。


鼓膜や耳小骨を思い出すと、
ちょっと元気がでてきませんか?(^^)




みどりん