ある日の学び~大道芸から~

繁華街を歩いていると、人だかりがありました。
なんだか盛り上がっているようなので、のぞいていて見ると、
以前、他のところで見かけたことのある、大道芸人さんが、パフォーマンスをしていました。

前に見たときは、
人も少くなく、周りの雑踏で音や声も聴きとりにくく、
さらには、途中で警察官がやってきて、退去指示をされ、盛り上がらず終わってしまいました。


しかし、今日は、その時の何倍もの人だかり。
騒音もなく、観客も盛り上がっているので、
それにつられてさらに人が寄ってきます。


しばらく見ていると、なんだか、芸人さんも、乗ってきた様子^^
そんななか、観客の中から突然呼ばれた一人の男性が、
パフォーマンスに加わりました。


実は打ち合わせしていたのでは!?
と思うほど、その方もノリノリ(笑)
さらに会場は盛り上がります。

すると、芸人さんが
“普段やはやらない、とっておきのネタ”
というのを披露してくれました。
見ている人は、得した気分満載^^
ついつい御捻り(?)も弾んでしまう様子でした(*^^*)

***

通りがかった時、
もし盛り上がっていなかったら、私も立ち止まってみることはなかったでしょう。
みんなが楽しそうに見ているから、「何々?」
と、つい覗いてみたくなる。
“岩戸開き”が自分の中に蘇りました。


そして、みんなが盛り上がっていることで、
芸人さんの“とっておき”を引き出すことができました。
稽古でもセミナーでも、
参加者が楽しそうに、嬉しそうにしていると、
教える側も、「もっと教えてあげたい」と思うことでしょう。

しかし、不機嫌そうな人が一人でもいると、場の氣が悪くなり、
自分が受け取れないばかりでなく、周りの人にも影響し、
“とっておき”どころか、
教えてもらえるはずのものも教えてもらえなくなってしまいます。

自分も今までたくさん、そういった“邪魔”をしてきました。
頭ではわかっていても、無意識にやってしまうこともあります。
けれど、これだけありありと見せつけられると、
稽古やセミナーだから、ということ関係なく、
日常のどんな場面においても、同じことが起きているということに、
ヤバイ!本当に改めよう、醸し出す氣を大切にしよう
そう思わざるをえませんでした。


さらに、
塾生としてとても勉強になったのは、
会場から呼ばれた方のパフォーマンスです。

もちろん素人さんですし、打ち合わせもなく、突然呼ばれたわけですから、
すばらしい大道芸ができるわけはありません。
けれど、
この方は、芸人さんがみせたいものを存分に見せられるよう、
やってほしいことをきちんとこなし、
しかも、心からそれを楽しんで、堂々と振舞っていました。
もちろん、うまくできないこともありましたが、
呼んだ芸人さんにとっては、そんなことは想定内なのでしょう。
サッとフォローして、それも笑いに変え、さらに会場は盛り上がっていきました。


私たちも、稽古やセミナーでデモに呼ばれたとき、
宗家がみせたいものを見せられるように動ければいいのですが、
違うことをやってしまって、結局見せたいものがみせられなかった、ということもあります。
下手なのは、宗家が誰よりもご存知ですから、
素晴らしいパフォーマンスなど期待されていないでしょう(^^;
けれど、求められていることと違うことをやってしまっては、
そこまで積み重ねてきたものまで台無しになってしまいます。

芸人さんが“とっておき”を見せてくれたのも、
この素人さんの働きがあってのこと。

デモに呼ばれたときも、日常のあらゆる場面でも、
こんな働きが出来たら、自分も周りも豊かにし、神様にもよろこんでもらえるのだろうな、
そう思いました。


ほんのちょっと見物のつもりが、
しっかり最後まで楽しませていただき、
さらには、すごい学びの機会をいただくことができました。

素晴らしいパフォーマンスを見せてくださった芸人さん、
その場に居合わせた観客の皆さんにも、感謝です。

 

きんとうん